2012年03月06日

複数人で協力するクーポンコレクター問題(その3)

その1
その2
の続きです。数式表示のためMathJaxを使用。古いブラウザでは見えないかもしれません。
 今回は、思いもよらず長大な解説となってしまった。この問題は何年も前にある方から質問されたものだが、当時は知識不足で全く答えられなかった。その後ずっと頭の隅には残っていたのだが、論文で解かれていたことを最近になって発見し、ようやく他人に解説できる程度には理解したという次第である。私に質問したその方とはもう会う機会がなくなり、結果をお聞かせできないことが残念である。だがこうしてブログにまとめを載せておくことにより、少しでも必要としている人の役に立てば幸いである。
 以降の式は自力で導き出したものなので多少不安だが、検算で間違いが見つからなかったので、多分問題ないと思う。
 さて、複数人で協力するクーポンコレクター問題における、コンプリート確率を求めたい。つまり次のような値を計算したいわけである。
 CD1枚に、$n$種類からランダムに選ばれた1枚のカードが付属することになっている。CDを$i$枚購入した時に、それぞれの種類のカードが少なくとも$m$枚ずつ揃う確率はいくらか。
これを$m$人で共同購入する問題とみなす場合には、$i$を一人当たりの購入枚数と人数$m$との積に置き換えれば良い。(今回は、前回の追記部分に書いた問題は発生しない。)
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posted by masaki at 22:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 数学

2012年02月26日

複数人で協力するクーポンコレクター問題(その2)

その1の続きです。数式表示のためMathJaxを使用。古いブラウザでは見えないかもしれません。
 コレクター問題において、複数人が協力した場合にどの程度購入枚数が減るのか。問題を次のように定式化しよう。
 CD1枚に、$n$種類からランダムに選ばれた1枚のカードが付属することになっている。それぞれの種類のカードが少なくとも$m$枚ずつ揃うまでに必要な、平均CD購入枚数$E_m(n)$は何枚か。
 複数人で購入という書き方にはなっていないが、$m$人グループで購入した場合と本質的には同じ問題である。もっとも、各人の平均購入枚数を求めるには、最後にこの結果を$m$で割らなければならない(※これ厳密には間違っていました。追記参照)。これまでに考察したのは、この問題において$m=1$とした特殊ケースである。
 一見、この問題も同じように包含と排除の原理で考えれば解けそうである。しかしこれが上手く行かない。$m=1$以外の場合は、同じ手法では破綻してしまうのである。この問題は、NewmanとSheppが巧妙な方法により解決している。さっそくその論文を見てみよう。
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posted by masaki at 22:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 数学

2012年02月23日

複数人で協力するクーポンコレクター問題(その1)

 こういう話題でも、極まれながら必要とする人に発見されて感想をもらえることがあります。今回は私にとって長年疑問だったことが、ある論文を読んで解決できたので、それを私なりの理解で書き下してみました。数式が多いのでMathJaxを使用しています。IEの古いバージョンなどでは読めないかもしれません。スマートファンの方は、PC版のページでご覧下さい。なお、順列組み合わせの記号として$_x C_y$の代わりに$\binom{x}{y}$を使用します。
 確率論の世界に「クーポンコレクター問題」というものがある。これは「トレーディングカード問題」とも呼ばれ、その見かけの単純さと内容の深さとのギャップから、しばしば話題になる問題である。
 どのような問題か。例えば
 CDにカードが1枚付属して売られている。カードは5種類あり、その中からランダムで選ばれたものが入っている。この時、カード5種類全てを揃えるにはCDを平均で何枚買えば良いか
というようなものである。実世界で良くある設定なので、実用性が高い問題と言えるだろう。実は、これに答えるだけならば簡単である。まずどれか1種類のカードが揃うまでには、当然CDを1枚買えば良い。2種類目のカードが揃うためには、1枚目に出たカード以外のものが出れば良い。その確率は$\frac{4}{5}$だから、揃うまでの平均CD購入枚数は$1+\frac{5}{4}$である。以下同様に考えると、全てのカードが揃うまでの平均CD購入枚数は \[1+\frac{5}{4}+\frac{5}{3}+\frac{5}{2}+\frac{5}{1}=\frac{137}{12}\cong 11.42\] となる。カードが$n$種類ある場合、平均で$\sum_{i=1}^n \frac{n}{i}$枚のCDを購入すると全種類が揃う。
 ここまでは簡単。
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posted by masaki at 23:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 数学

2012年01月17日

【『団地団』発売記念】デジモン・アドベンチャーとキャプテンクランチ事件

 はじめに謝っておきますが、団地とは全く関係無い話です。すみません。

 今週木曜日(1/19)に『団地団 〜ベランダから見渡す映画論〜』という本が発売されます。ロフトプラスワンで開かれていたイベントを書籍化したものですが、イベントには初回を除いて毎回参加していたので、本の方もぜひ購入しようと思っています。

 おそらく本にも掲載されている話で、イベントの3回目ではアニメ映画の『劇場版デジモン・アドベンチャー』が取り上げられました。団地を舞台にしたアニメの代表作ということで、これがピックアップされるのは当然の流れでした。

 この映画では、主人公の少年とモンスターがコミュニケーションを取る手段として、小さな笛を使います。この設定について、団地イベントの出演者である脚本家の佐藤大さんが「団地とは関係ないことだけど」と語りだしたのが興味深い話でした。これは、人類がデジタルのモンスターに初めてコンタクトした場面である。同時にこのシーンは、人類が初めてクラッキングに成功したキャプテンクランチの事件を模している、というのです。今回はこの話を取り上げてみます。


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posted by masaki at 21:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2012年01月03日

「最後の歯車式計算機 〜」誤字・脱字

「最後の歯車式計算機 クルト・ヘルツシュタルク氏インタビュー」ですが、脱字を発見しました。本として形になった後に「別の表現にすれば良かったな」と思うところは数多くありますが、キリがないのでとりあえずは明確なミスを修正します。

P43下段最後から3行目
×「その で工場の土地は」
○「そのおかげで工場の土地は」

校正が行き届いておらず、申し訳ありません。

脱字は別としても、工場のオーナーが収容所で犠牲になると、なぜそこがフランス領になるのかと疑問に思われる方が多いと思います。実はこれ、翻訳者もわかりませんでした。そういう政策がとられていたのでしょうか。ご存じの方がいたら教えてください。

他に誤字・脱字・翻訳ミスを発見された方もご連絡ください。この日記に追加していきます。

(以下追記)
P5 6行目
×約125$(3万円)
○約125$(4万5千円)
1ドル=240円で計算していましたが、1969年当時はブレトン・ウッズ体制のもと1ドル=360円でした。

P12上段 本文5行目
×「祖母は医師の娘として生まれ」
○「祖母は学者の娘として生まれ」
"the daughter of a doctor" を単純に「医師の娘」と訳してしまいましたが、前の方に物理学者だと書かれていました。多分「博士」の意味の "doctor" だと思います。

P59上段 最後の行
×「釘が回転したり無くなったりするので合わせにくい。」
○「釘が回転したり裏側に隠れたりするので位置を読み取りにくい。」
オドネル計算機のように出入歯車を利用した機械式計算機では、クランクを回転させると置数用の釘もつられて回ってしまうようです。回転の途中では、当然裏側に隠れてしまいます。そもそも元の位置からずれてしまうので、クランクを動かしている間は釘がどの数字を指しているかを読めないことになります。この辺りの事情を知らずに、曖昧に意訳していました。
posted by masaki at 11:53| Comment(2) | TrackBack(0) | クルタ計算機

2011年12月31日

クルタ本完売しました。

 コミックマーケットで販売した「最後の歯車式計算機 クルト・ヘルツシュタルク氏インタビュー」ですが、無事完売となりました。正午には売り切れてしまい、正直ここまで人気が出るとは思いませんでした。私としては思い切った部数を刷ったつもりでしたが、これほど早くなくなるのは予想外で、わざわざお越しいただいたのに手に入れられなかった方々には、申し訳ない限りです。

 少部数は知人等への配布のためにリザーブしていまして、それが余ったら希望される方には何らかの方法でお届けできるかもしれませんし、来年の夏か冬には増刷するかもしれませんが、現時点ではどうなるか、全く不明です。何かが決まりましたらこのブログで告知いたします。

 ともかく、お買い上げいただいた方、ありがとうございます。拙い翻訳ですが、話のおもしろさに関しては保証いたしますので、読んでいただければ幸いです。
posted by masaki at 17:39| Comment(2) | TrackBack(0) | クルタ計算機

2011年12月27日

ペルチェ素子霧箱の詳しい作り方

ペルチェ素子霧箱の詳しい説明を書きました。長くなったので別ファイルにしています。
PeltierCloudChamber.html


(追記)以下、コメントにお答えします。


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posted by masaki at 23:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記

2011年12月26日

ペルチェ素子霧箱の作り方を投稿しました。


ニコニコ動画に、ペルチェ素子霧箱の作り方を投稿しました。詳しい説明は数日中にこのブログに書きますが、一つだけ。動画で説明したペルチェ素子を2枚重ねる方法は、結構条件がシビアです。確実に現象を見たい場合は、19012-5L31-06CQQという2段重ねた状態で売られているペルチェ素子に、12Vをかけてみてください。
posted by masaki at 00:40| Comment(0) | TrackBack(0) | ニコニコ動画

2011年11月30日

コミックマーケットC81当選しました

コミケですが、当選しました。
3日目 東地区 R - 51 a http://twitcmap.jp/?id=0081-3-RRa-51-a

また、本のタイトルも決まっています。
「最後の歯車式計算機クルタ」クルト・ヘルツシュタルク氏インタビュー
です。

こんな感じの本です。
クルタという歯車式計算機の、開発者に対するインタビューを、許可を得て翻訳しました。

この本を読むと、↓がわかります。
・人類初の表計算機能を実現した、メカニカルなシステムとは?
・「00」や「000」のキーを発明したのは誰?
・足し算だけで引き算を実現する方法とは?
・強制収容所の中でクルタ計算機を設計できたのはなぜ?
・クルタ計算機を、リヒテンシュタインという小国で生産した理由は?

2日間に渡ったインタビューは自伝的要素を多分に含んだ色濃い内容で、19世紀後半〜20世紀前半の計算機市場の実情から、計算機設計のアイデア、ユダヤ人差別、ナチス収容所内での計算機設計、アメリカによる開放とドイツからオーストリアへの逃避行、リヒテンシュタイン皇室によるサポート、そして電卓の登場による機械式計算機の衰退まで、読んでいて飽きることはありません。当時のヨーロッパの現実を伝える第一級の史料となっています。計算機に興味がある方、ヨーロッパの歴史に興味がある方、是非お読み下さい。
posted by masaki at 23:05| Comment(2) | TrackBack(0) | クルタ計算機

2011年08月24日

コミケで本を出します

 2年ほど間が空いてしまいました。

 突然ですが、サークル「ぴっちぶれんど」としてコミケで本を出します。
クルタ計算機」という機械式計算機を開発したクルト・ヘルツシュタルク氏へのインタビュー記事(pdf)を許可を得て日本語に翻訳したものです。サークルの紹介ページにも書いていますが、内容はこんな感じです。

 2日間に渡ったインタビューは自伝的要素を多分に含んだ色濃い内容で、19世紀後半〜20世紀前半の計算機市場の実情から、計算機設計のアイデア、ユダヤ人差別、ナチス収容所内での計算機設計、アメリカによる開放とドイツからオーストリアへの逃避行、リヒテンシュタイン皇室によるサポート、そして電卓の登場による機械式計算機の衰退まで、読んでいて飽きることはありません。当時のヨーロッパの現実を伝える第一級の史料となっています。計算機に興味がある方、ヨーロッパの歴史に興味がある方、是非お読み下さい。


 サークルカットはこんな感じで作ってみました。
A0400-2.png

 コミケの出店は抽選だそうで、当選するかどうかわかりませんが、落選した場合もどこかに委託して出したいと思っています。みなさん、よろしくお願いします。

posted by masaki at 23:08| Comment(0) | TrackBack(0) | クルタ計算機